我が国は観光立国を政策に掲げているそうです。
海外からの観光客の増加が、新たな産業と雇用を生み、日本の国益に大いに貢献することになるだろう――。なんてことなのでしょうが、そんな政策は、ちゃんと受け皿を整えてから進めてくれとわたしは言いたい。
みんなかなり困ってまっせ。
「遠くへ仕事に行こうにも、ホテルが満室。八千円で泊まれたところが、足下を見て二万円吹っかけてくる。かといって出張費が上がるわけでもない」
などと、世の営業マンは嘆いてはります。
京都なんかはひどいもんで、地元の人が病院へ行くのに、バスが一杯で乗れない。観光客のために歩道を広げたら、その分車道が狭くなり大渋滞が起こるようになった。民泊で、マンションを外人観光客に占領されつつある――なんて話もあると聞きます。
実際わたしもこのような目に何度かあっています。町を歩けば、どこかの国の連中が大勢で、何憚ることなく道の真ん中にたむろして通行を妨げる。公演先のホテルに泊まれば、やかましいことこの上ない……。
それでも日本を訪れる海外からの観光客は、世界の中でもまだかなり少ないらしいのですが、日本の町はそもそも海外からの観光客を受け入れられるように出来ていないのだから仕方がない。結局は、住民も観光客も互いに窮屈な想いをすることになるのでしょう。
私のような心の狭い人間は、
「観光立国で、なんかわしにええことがあるんかい。外人観光客が享受している公共のサービスは、我々が支払っている住民税などで賄っているのと違うのかい。そやのにこっちは困ってばっかりや。外人観光客がわしの本の一冊でも買うてくれるんかい。責任者出てこい!」
などと、この夏の暑さの中、何処へも行けず、オッサンは日々ぶつぶつ言っております。これはもう呟きというより、〝ぼやき〟ですね。
失礼しました。
(平成二十九年8月8日)







