もうすっかり世の中に定着していますが、この言葉は誤用です。
「とんでもないことでございます」というべきところが、いつしか縮まって出来た、真におかしな言葉なのです。
かくいうわたしも、随分前にうっかりと脚本に書いてしまったことがあり、後で大いに反省したものです。
意味は誰もがわかるのだから、もう常用語にしてもいいと思うのですが、時代劇の場合はそうもいきません。こんな言葉はなかったわけですから。
それゆえ、「とんでもないことでございます」と必ず書くわけですが、出演者が時折、アドリブで「とんでもございません」と言ってしまうのが困りものです。
わたしは、一言一句台本通りに台詞を言えとは申しません。芝居は生き物ですから、捨て台詞であるとか、間を取るための台詞は演者が適当に足してくれたら好いと思っています。
しかしながら、間違った言葉を使われると、わたしが書いたと思われるので、これはやめて頂きたい。
間違っているとは夢にも思わず、撮影や舞台の本番で言ってしまったのでしょうが、テレビのオンエアーなどで耳にすると、「書いてないよ……」と叫びたくなる。
ともあれ、わたしの作品で、役者が「とんでもございません」という台詞を喋ったら、これはわたしが書いた台詞ではなく、アドリブで勝手に口走ったと思って頂けたら幸いです。
(令和6年10月24日)







